場所の名前

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   ニュースを見ていて場所のイメージが湧かないことが良くある。自分は余り旅に出ることがなかった。旅に出てその場所の空気を吸えばその場所を記憶できるのだが。かなりの出不精で社交性もない田舎者。よく旅に出る友達の話を聞くのは好きだった。旅の準備が好きな友もいる。列車の時間を調べたりカバンに詰めるものを考えるのも楽しいそう。

   車で出かけるのは好きであったから助手席にいつも日本道路地図が何冊かおいてあり気軽に出かけた。どれも日帰り。ドライブで富士山まで新緑を浴びに出掛けたこともある。河口湖、山中湖、西湖などを回った。鎌倉に住む友に会いにドライブしたこともあった。地図を見ながらの運転を楽しんだ。車を止める場所さえ確保できればどこへでも出かけたくなった。何よりも好きなのは中央高速を走り景色が変わり始め徐々に山が多くなり、畑が広がってゆくのを見るのが好きだった。やがて富士山が左手に現れ面前に迫ってくる。心が躍った。空気も澄んで旅気分は高まった。地図を頼りに交差点を過り登山口まで行き「今日は5合目まで通行出来るか」を確かめOKならそのままドライブを続けた。5合目までは白樺や楢の林の中を行く様であった。雪も残っていたり都会では見られない木立に見惚れた。山道のドライブにはマリア・カラスのアリアがよく似合った。かなり大きな音で聞いていたのを忘れない。

   白馬村の友を訪ねたこともあった。朝早く出発し昼には白馬村の彼女の家に着いた。彼女は京都の有名な工房の西陣織物の機織り職人であった。白馬では彼女自身の工房を構えており仕事場に機を置き仕事をしていた。注文を受ければ注文通りの布を織りそれを生業にしていた。林の中の仕事場を抜け奥まった部屋に娘さんとウサギとで暮らしていた。「貴女の部屋はそこ」って指定してくれた。荷を解き一休みすると3人で近くのスーパーへ行き夕食用の食材を仕入れたのを忘れない。魚と白馬の野菜。夕飯は魚のソテーとサラダと果物のデザート。洗い物が終わると3人で近くの温泉に行った。目の前に白馬が夕日に浮かび上がり夜空には星が沢山。そんな夕べを過ごし、次の朝早くリュックを背負い白馬に向かった。山の渓谷の湧き水の美味しかったこと! 道端に咲く高山植物達に目を奪われた。彼女は高山植物の花と身近にいたい為白馬に移住したのであった。珍しい雷鳥も見ることが出来た。

  場所の名前と思い出が一緒になった国内での数少ない旅の話である。

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