16世紀後半、韓国で初めての女性陶工(サギジャン)ジョンイの半生物語。やはり女性が陶工になるのはほとんど禁じられていた時代の物語:”有田焼の母”と呼ばれた”百婆山”(ペク・パセン)(1560~1656)王子との身分の差を超えた切ないロマンス。
国が管理した官窯(かんよう)が主な舞台。王室の陶磁器製作所分室(プノン)を舞台に困難を乗り越え愛に生きたユ・ジュンの波乱に満ちた半生。当時の陶磁器界には2大派閥がありジュンの父は決して派手ではないが心に染みる模様を描いておりその画風は王に愛されていた。側室に気に入られていたガチョンは最高職につき充実した生活を送っていた。ある日ヨニョクという女性がウルタムの元へジュンという娘を預けた。成人になってジュンは幼馴染のキム・テッドと森へ出かける。自分たちが仕掛けた落とし穴にはまっている王子光海君を見つける。ジョンは王子の壺を割ったのは自分だと勘違いし直す事を決心し壺を修理することを名乗り出る。上手く修理すればウルタムを許すと言われジョンは見事に修理する。ガチョンは気に入らない。幼馴染のキム・テッドにウルタムを殺したのはガチョンだと知らされる。
父親を殺した人物に復讐するために、朝鮮一の沙器匠になることを決意するジョン。その後キム・テドに自分は死んだことにしてほしいと頼み行方をくらます。 ジョンはムン・サスンのもとで厳しい修業をしていた。数年後、ムン・サスンが作った器を売るために都へ向かう。そこで成長した光海君と再会を果たすが、盗人によって大切な玉帯が盗まれてしまう。 王宮へ戻った光海君は宣祖に玉帯が盗まれてことを報告すると、罰として異母弟の信城君に使えることになる。一方ジョンは都でごろつきに絡まれて、持ち物をすべて奪われてしまう。しかしそんな彼女をキム・テドが救い、ジョンに護身術を教え込む。 名も性別も偽って挑む工抄軍の試験の日、ジョンは王室の森に入ってしまい、投獄される。しかしガンチョンの息子であるユクトの助けもあって再試験に挑戦し、無事に分院の工抄軍となる。 分院の工抄軍となったジョンは、毎日忙しく働いていた。そんなある日、明の使臣が王宮へやってきて宣祖に対して急いで世継ぎを決めるよう急がせた。 そして宣祖の長男である臨海君を光海君だと勘違いしているジョンは、倉庫から壺を取り出している場面をガンチョンに見られてしまう。さらにガンチョンは、この出来事をきっかけに臨海君と光海君を陥れようと画策する。 臨海君は仁嬪キム氏から、「明の使臣は器を買い取ろうとしていて光海君が取り入ろうとしている」という話を聞き、宣祖に訴えかけていた。しかしすべてはガンチョンたちの罠で、仁嬪キム氏の裏切りによって光海君と臨海君は捕らえられてしまう。 情報を受け取ったジョンはすぐさま王宮へ向かうが、役人に捕まってしまう。一方宣祖は、明の使臣から青磁の茶器を作るよう命じられる。 責任重大な仕事に沙器匠たちは逃げ出すが、唯一ジョンだけは命懸けで茶器を作っていた。必死に青磁の茶器を作り上げようとするジョンだが、必要な素材がなくなってしまう。そこでジョンは、光海君とともにムン・サスンのもとへ素材を調達しに行くことを決意。しかしその途中で事故に遭い、光海君はジョンが女性であることを知ってしまう。 動揺が隠せない光海君だが、この罪は必ず償うと話すジョンの目を見て、彼女が茶器を完成させる期間まで待つことを決める。 しかし王宮に戻った際、ヨノクの同僚であるオ・グッピを助けるためにジョンは自らの性別を明らかにする。その結果役人に捕らえられるが、キム・テドによって助け出される。 数日後、ついに明が決めた茶器完成の期限を迎える。ガンチョンはほぼ完成形の茶器を渡し、使臣を騙すために光海君の巧みな話術で難を逃れる。しかしプライドを傷つけられた使臣は、なんと茶器を作った沙器匠を殺そうとする。 そのことを知ったガンチョンは、茶器を作ったのはジョンだと偽り……。
宮廷内の権力争い、派閥間の嫉妬など常人には伺いしれない問題が次から次へと起こる。細かい事件に興味が無い方は粗筋を飛ばしてください。画面上で韓国の風景、時代物の衣裳などを楽しめば事足ります。
褒美を与えるために明の使臣がジョンを探していることを知ったキム・ファリョン。しかしある違和感を覚えたためユクトに調べさせると、使臣たちはジョンを殺すために行方を追っていることを知る。 その後キム・ファリョンから事情を聞いたキム・テドは、光海君とともにジョンを探しに向かう。すでに身柄を拘束されてた光海君が囮となり、ひとまずジョンを解放するキム・テド。 一方王宮内では、宣祖派と仁嬪キム氏派の動きが活発化。そして宣祖は大役に臨海君を任命することを決める。 その頃分院では、土練りを課題とした工抄軍試験が行われていた。しかしそこにジョンの姿はなく、試験が始まったときに到着。遅刻したことで課題に必要な素材がもらえずに悩むジョン。そのときウルタムが陶石で土を練って磁器を作っていたことを思い出し 、上手く土を練り、無事試験に合格する。
ガンチョンはジョンがウルタムの娘ではないかと疑い始める。しかしすでに死んでいるという情報があったため、これ以上追及することはなかった。 そんな中、光海君のもとに役人が仁嬪キム氏から賄賂として水滴を受け取ったという報告が入る。ジョンとムン・サスンの鑑定の結果、分院の倉庫にあったものと判明。 一方ガンチョンは、賄賂の件がバレたことですでに手を打っていた。ジョンは出し抜かれたことで窮地に立たされるが、光海君が現れたことで難を逃れる。しかしムン・サスンはユクトと茶器作りの対決を申し込まれ、負けた方が分院を去るという条件を提示されてしまう。 ジョンはムン・サスンのサポートに徹する。ガンチョンの手によって窯焚きは失敗するが、機転を利かせて新たな杯を作り上げる。 その頃ガンチョンは、ジョンの荷物からウルタムの器を発見し…:
ガンチョンは勝負に確実に勝つために、杯を乗せた荷台をごろつきに襲わせる作戦を実行。しかし光海君の予想の範疇だったため、何事もなく会場へ運搬することができた。 勝負の結果はムン・サスンが勝利を収めるが、宣祖に対してユクトを追放しないように頼み込む。自身の不甲斐なさに打ちひしがれるユクトは、キム・ファリョンの支えもあり少しずつ前を向き始める。さらにガンチョンに対して、二度と失態は犯さないことを誓うのだった。 そんな中、キム・ファリョンのもとにジョンとキム・テドが婚約するという情報が入ってくる。嫉妬に狂ったキム・ファリョンはガンチョンに、ジョンがウルタムの娘であることを明かしてしまう。 その後ガンチョンは火薬入りの薪を用意して、ジョンを襲う。間一髪で重傷を負わずに済んだジョンでしたが、光海君は大激怒。事件に関わった者全員に処罰を下すと役人に言い放つ。ジョンの行方を追っていた光海君は、山奥の寺に訪れる。そこには爆発の影響で視力を失ったジョンの姿が……。彼女は王宮に戻ることを願っていたが、キム・テドが安全のために阻止していた。 しかし光海君はジョンの思いを理解し、彼女の願い通り王宮へと帰還する。その後仁嬪キム氏から依頼されていた花瓶作りに勤しむジョン。実は視力を失ったことで表現力に更なる磨きがかかっていた。 その結果模様がない真っ白で美しい花瓶を完成させ、仁嬪キム氏へ贈る。しかし仁嬪キム氏は、素晴らしい花瓶だと思う内心を隠し、気に入らないと言い放つ。数日後、ジョンは王宮を追い出され、自暴自棄になってしまう。 しかし夢に母親が出てきたことで、改めて陶芸家の道を進むと誓うジョン。目を覚ますと視力が完全に回復していた。 その後、陶器に付着したカビによって病人が溢れていた村を訪れ、陶器を提供。ジョンのおかげで、村人たちは腹痛に苦しむことがなくなる。 一方王宮では、宣祖が王子たちに村人たちが腹痛で苦しんでいる原因を調査するよう命令を出す。村へ調査へ出かけた光海君は、陶器を売るジョンと再会を果たす。そしてジョンが問題を解決させていることを知った光海君は、彼女を王宮へ連れ戻す。 その後ジョン製の陶器を提供すると、問題も解決していった。村ではジョンを称える声が多く上がる、もちろん仁嬪キム氏はこれを良く思わない。宣祖に悪い噂を吹き込み、光海君を警戒させる。 数日後、キム・テドからウルタム暗殺の黒幕はガンチョンであることを知らされるジョン。復讐を果たすことを誓った彼女は、ガンチョンに宣戦布告する。 その頃仁嬪キム氏は、光海君に反逆の罪を着せようと画策。そしてジョンをガンチョンの使いで王宮外へ向かわせる。ジョンを王宮外へ向かわせたのは、仁嬪キム氏の罠であった。ジョンの身の安全を案じた光海君は、すぐさま捜索へ向かう。その隙に仁嬪キム氏が宣祖に書簡を渡し、光海君が反乱を起こそうとしていることを吹き込む。 その結果、軍は光海君捕縛のためにジョンのもとへ向かう。一方光海君はジョンに再会しており、彼女への想いを明かしていた。しかしジョンは、光海君が王子だからという理由で応えをはぐらかしてしまう。 2人のもとへ軍がやってくると光海君は捕まり、王宮へ連れ戻される。宣祖の前に立つ光海君であったが、国を案じて解決策を練っていたことを伝え、ひとまず謹慎処分で済む。 光海君が生まれたことがきっかけでウルタムが釈放されたことを知るジョン。さらにオ・グッピからジョンが視力を失った場所で、ヨノクが亡くなったことを知らされ、そしてすべての事件にガンチョンが関わっているのではないかと考え……。今まで手を組んでいた仁嬪キム氏とガンチョンだが、突然対立関係になる。そのきっかけとなったのが、ガンチョンの裏切り行為。なんとガンチョンはすでに倭国と協力関係を築いており、東人派の権力者にこびへつらっていたのだ。 そのことを知ったジョンは王宮内で発見した帳簿を持ち出し、仁嬪キム氏を上手く取り入れる。さらに信城君の湯薬の器作りを依頼され、早速取り掛かる。 しかしガンチョンによって、ジョンとユクトの器作り対決が行われることになりジョンが勝った場合は沙器匠に昇格、ユクトが勝った場合は彼を郎庁に任命することを約束する。一方仁嬪キム氏は、ガンチョンの身勝手な行動に怒りを覚えるが、結局対決は行われる。 宣祖の許可のもと、信城君が勝敗を決めることを条件に開催日が決定。ジョンはキム・ファリョンに干潟の土の確保を依頼するが、残念ながら手に入らず。ジョンとユクトはそれぞれ湯薬の器を完成させ、信城君のもとへ届ける。そしてユクトが作った器で湯薬を飲んだ瞬間、信城君は突然苦しみ始める。なんと信城君は海藻アレルギーであることが判明し、ユクトの器には干潟の土が使われていた。 この出来事がきっかけで仁嬪キム氏は怒り、ユクトの死刑を要求。一方息子の身を守るために、ガンチョンは事件の経緯を整理していた。 しかしユクトが、ジョンが使おうとしていた素材を横取りしたことを知るがどうすることもできないと理解したガンチョンはジョンに土下座し、助けを請う。 ジョンは、ウルタムの死に関するすべての情報を開示するよう求めるが、ガンチョンは嘘をつき、金で解決しようと企む。もちろんジョンはお見通しで、ガンチョンを見捨てることを決める。 数日後、ついにユクトの死刑が執行される。ユクトの首に剣が振りかざされようとしたそのとき、役人が刑の執行を取りやめるよう介入してくる。なんとジョンが宣祖に対して器の素材は自分のものであったことを明かし、刑の取り下げを申し出た。 数日後、分院の郎庁の座にはキム・サスンが就く。さらにジョンは、朝鮮初の女沙器匠に任命される。そして光海君からジョンへ、ウルタムが使用していた工房をプレゼントされる。ガンチョンとユクトはキム・サスンに許しを請い、王宮内に留まることになる。しかし2人はまったく懲りておらずむしろ復讐の機会を窺っていた。 数日後、明から磁器の作成を依頼されたキム・サスンたち。ガンチョンはさまざまな作戦で邪魔をするがすべて回避され、ついにジョンの暗殺を実行する。しかし光海君とキム・テドは刺客であるマプンを捕縛し、彼の自白を試みていた。ガンチョンは、ウルタムの墓へ行って謝罪することをジョンに誓う。しかしこれはすべてジョンを陥れるための罠。ガンチョンは墓の前でジョンの到着を待つが光海君によって捕らえられる。 ガンチョンのもとへ向かったキム・サスンは、「ジョンはお前の娘だ」と伝える。その瞬間、ガンチョンは今までの行いを後悔して涙する。 一方光海君たちが墓へ向かうと、ジョンはすでに倭国の使臣であるケンゾウに攫われていた。そして光海君は急いで港を閉鎖しようとするが、キム・ファリョンによって船が出国してしまう。 そんな絶体絶命のジョンを助けたのは、キム・テド。しかし倭国の者たちによって重傷を負い、そのまま亡くなってしまう。 命からがら王宮へ逃げてきたジョンでしたが、翌日には街に倭国の軍が侵攻、さらにガンチョンの裏切りによって王宮は倭国のものになってしまい……。
『火の神ジョンイ』のモデルは百婆仙16世紀後半の朝鮮を舞台に、ユ・ジョンの波乱万丈な人生を描いた『火の神ジョンイ』。そんな本作の主人公ユ・ジョンイは、実はモデルとなった人物が存在するのです。その女性は実在した陶工で「有田焼の母」とも呼ばれる百婆仙。彼女は慶長の役の際に朝鮮から日本へ連れてこられました。百婆仙を連行したのは肥前国の戦国大名・龍造寺隆信の三男である後藤家信です。渡来以来は、九州で100人以上の陶工を指導し多くの人から敬愛されていました。その後有田へ移住したことをきっかけに、職人が多く集まって焼き物の大量生産地となったのです。
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