虫の宿    秋の夜長

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   一昔前の今頃、庭の杏子の樹に、夜になると(青マツムシ)がリンリンと賑やかだった。叢にひっそりと宿る秋の虫の気配とは異質の、まるで鐘を叩くような音でその樹が鳴り始めた。夜中耳を打った。むしろ煩いくらい。細やかな叢には静かに秋の虫が集く(すだく)き羽音をたてていた。この賑やかな虫達は外来種で中国から来たらしい。又しても中国からの客・・・?

昔から住むコオロギ、オケラ、鈴虫、マツムシ、薄葉カゲロ等の虫に我が家は囲まれ(虫の宿)になっていた。もうこんな言葉は死語になってしまっているかも知れない。

静かな夜半にうつらうつらの夢から覚めて窓を開けて夜風の香りで胸を一杯にして又寝入るのは夏の終わりから秋にかけての楽しみだったかも・・・

子供の頃、蚊帳という家具を寝具のスペースにかけ蚊やハエ等の虫を防いでいた。今ではほとんどの家庭では使わなくなっている。昭和初期の我が家の蚊帳には時々思いがけなく蛍が迷い込んできた。

近くの川辺(玉川)から飛んで来たのであろう。静かにしているとポッポッと光った。まるで話掛けてくるような蛍はたまにしか訪ねて来てくれなかった。ひょっとしてたった1回だけであったのかもしれない。しかし思い出は毎年新しい。家の窓は全会であったから、熱帯夜なんてなかった。

温暖化を食い止めたいが・・・すでに遅いのか?かと言って私一人で立ち向かえないことは分かりきっている。

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