個人の庭や寺社庭園などの設計、施工、維持管理が庭師の仕事。庭師は庭全体の施工に携わり、植物を植えるだけではなく、庭石を設置したり、池を作ったりすることも仕事。施主から依頼があれば、施工した庭の草刈りや剪定などの維持管理も定期的に行う。
植木屋
庭師が庭造り全体に関わるのに対し、植木屋は庭木の手入れに特化し、樹木の剪定や移植を専門的に行う。また種を蒔いたり、挿し木・接ぎ木をしたりして、新しい苗木を育てる人を植木屋と呼ぶこともあり、この場合は庭師とは異なる仕事内容。
造園会社
造園会社は個人住宅の庭やビル、集合住宅の外部空間、ホテル・旅館の庭園、街路樹、公園など、さまざまな空間を対象に施工を行う。仕事内容も、庭や公園の設計と施工、屋上緑化や壁面緑化の計画と施工、街路樹の提案などさまざま。庭木や草花を植える植栽工事だけではなく、ときには公園の遊歩道を作ったり花壇、噴水の工事を行ったりも。
また造園会社では、施工だけではなくその後の維持管理も請け負う。庭師と比べて、より広範囲な仕事を請け負うのが造園会社。「造園会社」が組織を表す言葉なのに対し、「庭師」は一般的に個人を指す言葉なので、造園会社に所属して、現場で実際に作業する人を「庭師」と呼ぶ場合も。植木屋が主に行う剪定や消毒などの庭木の手入れは、造園会社でも。
庭師に必要な資格は？
庭師になるために必ず持っていなければならない資格は特にない。だが「造園技能士」や「造園施工管理技士」などの資格は、知識や技術の証明になるので、転職や独立の際に有利に働く可能性が高い。これらの資格は等級によっては、実務経験がなくても受験可。庭師になるための勉強を兼ねて、資格を取得しておくのも有利。
造園技能士
造園技能士は厚生労働省が実施する造園職種の技能検定に合格した人のことで、造園に関する一定の技術があることを証明する資格。
検定は学科試験と樹木名の判定、実際に庭園を作成する実技試験がある。これは知識だけではなく実務的な技術もあるかを問うため。1級、2級、3級があり、このうち3級検定は造園に関する大学や短大、高等専門学校の卒業者であれば、実務経験がなくても受検可。
また、造園に関する専門高校や職業訓練校などで技能を学ぶ学生や訓練生も受検可。他業種から転職する場合は、事前に造園に関する職業訓練校に通い、3級の造園技能士取得を目指すのも良い。
造園施工管理技士
造園施工管理技士は造園施工管理技術検定によって認定される資格で、1級と2級がある。実務技術に重点をおく造園技能士に対し、現場管理者として、施工計画や工程管理、品質管理、安全管理など、工事全般を統括する「施工管理」に関する資格が造園施工管理技士。
検定試験は第1次検定と第2次検定に分かれており、2級の第1次検定は、年度中に17歳以上に達する人であれば誰でも受検可。
最終学歴や所有資格によって3年から15年の実務経験が必要だった1級の第1次検定も、令和6年度からは年度末時点の年齢が19歳以上であれば実務経験がなくても受検可。
造園施工管理技士は、市販のテキストや過去問を使って独学で勉強することも可能だが、各資格スクールでも講座を開講しているので、チェックしてみるのもおすすめ。
庭師はどんな人が向いてる？
庭師は植物をはじめとする自然を相手にし、屋外で作業する仕事。この仕事内容から庭師に向いている人の特徴は3つ。
1）樹木や草花などの植物、自然が好きで、その知識を貪欲に吸収できる人。好きなことや興味がある分野を仕事にすれば、やりがいを持って楽しみながら仕事ができるので、自身の成長にもつながりやすい。
2）体を動かすのが好きで、体力のある人。庭師の仕事は、デスクワークよりも屋外での作業が中心。石や庭木など重い物を運ぶこともあるため、体力が欠かせない。体が資本の庭師の仕事は、その能力を存分に活かすために体調管理がきちんとできることも大切。
3）創作意欲を持ち続けられる人。どのような空間の庭を作るのか、剪定でどんな形の庭木に仕立てるのか等、庭師の仕事は創作活動の連続。
常に創作意欲を持ち、顧客の要望や周囲の環境との調和を考えて、新しい提案をし続けられる人が庭師に向いている。
格式の高い庭師を「御用庭師」と呼んでいるらしい。国立公園や、有名な料亭、国立公園、京都の庭園などの庭を手入れする庭師たちに「御用」を付けるらしい。代々、庭の草木の手入れ技を受け継ぎ現代でもその技を生かして手入れを続けている職人達がいる。世襲らしいが詳しくは分からない。
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