ウリさんの事

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   昔、バブル時代(1988~91年にかけて)がありました。日本が好景気に沸いた時代。円高で外国から物資が大量に輸入され日本の市場で売れに売れまくった時代がありました。経済成長著しく日本人は浮かれました。繁華街は賑わい若者たちは贅沢を享受しました。

   そんな時代友達の通訳グループの一人が私に仕事を手伝うよう声をかけてくれました。なんでも近いうち幕張メッセで「宝飾フェア」があるから通訳を頼みますとの事。メッセに出店する予定のドイツのある宝石商の通訳。宝石には殆ど興味のなかった私は興味本位で引き受けました。後日初めての顔合わせに帝国ホテルの食堂を指定され、そこであるドイツ人と通訳の仕事をしてゆく段取り・予定を確かめスケジュールを決めました。フェアまで時間が許す限り東京地区の宝飾会社を訪問し社長と顔馴染みになっておきたいとの事で、彼が既に調べてきた日本の宝飾会社の社長と面会のアポを取ることになりました。要は電話予約です。

   フェアまでの間に東京地区の宝飾店を訪ねウリ(ウルリッヒ)さんの会社の宣伝、名刺交換をすることになりました。まずは上野の宝飾店訪問です。ウリさんの会社はドイツのイーダオバ―シュテイン言う町にあり、そこでは社員(バイヤー)が世界中の鉱山を探し回り買ってきた原石を工場でカット加工しジェリーに仕上げるのだそうです。ウリさんはそのジェリーをアメリカ、フランス、スペイン、イタリア、インドなどのブルガリなどの高級宝飾店に売るのだそうです。アフリカ、スリランカ、インドからの原石がカットされた商品も展示するから「お待ちしています」数店回ったのを思い出します。ウリさんは電車に乗ると持ち歩いている宝石を入れたカバンから手を放さず、肌身離さず携えていました。獲られたら大変です。

  山梨県の甲府にも足を延ばしました。甲府は宝飾店で有名です。水晶などが有名。とにかく疲れました。若かったから楽しめたのだと思います。

   フェア当日、早めに幕張の会場に出かけると既に招待客がウリさんのブースに集まっていました。カットされたダイア、オパール、サファイア、ルビー、オニキス等がキラキラと輝いていました。当時は売れました。日本人の中には節税対策のために大量に宝石を買う人も多かったようです。余り宝石には興味のない私にはダイアが皆同じガラスのように見えました。透明度、大きさ、色、により分けられ等級をつけられ値段が決まるのですが、何故皆が目の色を変え石を漁るのかを理解できませんでした。しかし50年経ってこの年(78歳)になると宝石の言えも言えない魅力が分るような気がします。

    昔英国のある友人に「これ持っていてください」と手渡されたブローチがあります。ルビー、サファイア、ダイヤの小石が蝶の形に組み込まれた物です。「母からもらったものでビクトリアン様式の物です」今も手元にありますが沢山の思い出が詰まった宝です。宝石には無言の思いが結晶になり輝いているようです。

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